【書評】メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間

『メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間』の書評。「挑戦の5年間」ということで、サービスの立ち上げから現在に至るまでの軌跡がザッと把握できる。今後の展開も含め、その軌跡を把握するための一冊として読んでおいて損はない。

フリマアプリ「メルカリ」の5年間

メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間』を読んだので雑感を書き残しておく。

メルカリ、正直あまり良い噂を聞かないのでこれまで敬遠していたが、最近ようやく使い始めたので読んでみた。サービス自体の評価はここでは割愛する。

サービスの立ち上げから現在に至るまでの軌跡

「挑戦の5年間」ということで、サービスの立ち上げから現在に至るまでの軌跡がザッと把握できる。

基本的にはスタートアップあるあるな話が散りばめられており、題材としては非常に面白い。日本国内においては希少なユニコーン企業として注目を浴びるメルカリ。本書に興味のあるユーザーも多いだろう。

…が、読み物として非常に退屈だった。主な要因は次のとおりだ。

  • 登場人物多過ぎ
  • 時系列バラバラ
  • 「えっ、この話要る?」みたいな小話ばかり
  • 当事者の心理描写や熱量が欠落
  • 言い回しがクドく読みづらい
  • 特に終盤、状況説明を淡々と書き連ねているだけで退屈

本書を読む直前に、堀江貴文氏の「多動力」、SHOWROOMの前田裕二氏の「人生の勝算」など、本人による著書を読んでいたギャップもあるかもしれない。

個人的にこの手の本では、起業家本人の思いや心境に触れたいという部分が大きい。そのため本書のような第三者が取材・インタビューした形式の構成は、よほど読み応えがなければ面白みを感じない。

登場人物やフォーカスを絞った濃い話が聞きたかった

あとがきによれば、2014年からの継続取材メモを土台に、直近半年ほどに実施した50名を超える関係者への追加取材を基に構成されている模様。

登場人物の多さや、唐突によくわからない小話が挟み込まれている理由がこれだ。中には数行程度の登場という人物も居る。ハッキリ言って関係者でもない限り、断片的に多数の名前を続けて出されても話の前後関係がまったく理解できない。

海外展開、上場、エンジニア1000人体制、炎上案件など、注目すべきキーワードが多いだけに、本書を読んだ感想は「実にもったいない」の一言だ。

数々のスーパースターが集うユニコーン企業「メルカリ」、それゆえ関係者の声を集めるのは非常に苦労されたことだろう。しかしながら、読み物として「もう少し登場人物やフォーカスを絞った濃い話が聞きたかった」というのが総評だ。

軌跡を把握するための一冊

例えば起業家を目指す若者が手に取る本としては、本書はまったく適していない。起業家の心理描写や熱量を感じたいのであれば、自伝の類を読むのが無難だろう。

逆にメルカリというサービス自体の歴史を辿るのには適している。もちろん前述のとおり、登場人物の多さにやや混乱する面もあるかもしれないが、そこから興味を持った人物を追うのも良いかもしれない。

何にせよ、これだけの巨大企業になったメルカリだ。今後の展開も含め、その軌跡を把握するための一冊として読んでおいて損はない。