伝わらない時代の「伝わる」方法
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社からサンプリングで提供いただいた『明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法』を読みました。
「プランニング」というと身構えてしまうかもしれませんが、要するに「伝えたい相手を知り、伝えたい相手を笑顔にする」そのために何をすべきか?ということが書かれています。
情報”砂の一粒”時代
2010年、世界に流れる情報量はゼタバイトの時代になりました。1ゼタバイトは「世界中の砂浜の砂の数」と言われていることから、本書では情報洪水ならぬ「情報”砂の一粒”時代」に突入したと掲げています。(以下「砂一時代」)
あなたが伝えたい情報は、生活者にとってはたった「砂の一粒」である。
明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法(P.30)
これはインターネットの爆発的な普及が要因です。さらに2020年には、情報量は35倍になると予想されており、情報を伝える立場の人にとっては過酷な時代になってしまうのです。
地球上に砂浜がいまの35倍あって、その中の一粒があなたの伝えたい情報なのである。
明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法(P.33)
とはいえそんな時代にも「伝わる」方法はあります。
砂一時代と砂一時代以前とでプランニングを切り分ける
まずは情報の受け手を知ること。本書では国民の半分くらいが「砂一時代『以前』」の情報環境、つまりネットで積極的に情報収集をしていない人であるということを述べています。
ネットを毎日は利用していない人:約5670万人
明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法(P.70)
検索を日常的に利用していない人:約6000万〜7000万人
ソーシャルメディアを利用していない人:約7000万人
ネット中心で生活している人にとっては、にわかに信じられないデータでしょう。いくらネットで大々的な広告を出しても国民の半分にはまったく届かないということです。
ではどうするかというと、砂一時代と砂一時代以前とではプランニングを明確に切り分けなければならないのです。
砂一時代以前の人にはマスベースの方法が通用します。積極的に情報収集をしていないため「邪魔して見せる」「強制的に見せる」といったテレビCMやネットの広告情報も喜ばれます。
一方、砂一時代の人にこれまでどおり情報の押し付けをしてもウザがられるだけです。そこで重要となるのが「興味を持たせる」「共感を抱かせる」ということです。
これにはファンベースのアプローチが有効であり、友人知人メディアによるオーガニック(自然)な言葉が受け入れられ、共感を共有することにより情報が拡散されるというのです。
友人知人メディアは最強?
自分もネットで情報収集して判断することが多いですが、あまりに情報が多過ぎて専門外のことに関してはまったく判断がつきません。そのような時は詳しい人に聞くことにしています。
「カメラのことはあの人に聞けば間違いない」
「はじめて学ぶ分野だけど、よく情報発信してる人がいるな」
「あいつが言うならちょっと見てみるか」
TwitterやFacebookなど、SNSで繋がっている趣味趣向や感性、年齢などが近い人の情報は自分にとって有益である確率が高いです。広告を見てなんとも思わなくても、友人知人から話を聞くと興味が湧く。皆さんにもそんな経験があると思います。
友人知人メディアの情報は、砂一時代には非常にありがたいものとなっているわけです。
ファンからオーガニックな言葉を引き出すには
砂一時代の人にはファンベースでのプランニングが有効ということですが、具体的にはどうすれば良いのでしょうか。
本書ではオーガニックな言葉を引き出す7つの方法が紹介されています。(詳細は省きますので気になる方はぜひ手にとってみてください)
(A)社員という「最強のファン」の共感を作る。
明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法(P.202)
(B)ファンをもてなし、特別扱いする。
(C)生活者との接点を見直す。
(D)商品自体を見直す。ファンと共創する。
(E)ファンを発掘し、活性化し、動員し、追跡する。
(F)ファンと共に育つ。ファンを支援する。
(G)ファンとビジョンを分かち合う。
当たり前といえば当たり前の内容ですね。すでに実践している企業もあるでしょう。
砂一時代以前ではこのようなことをしなくても広告の押し付けだけで情報を受け取ってくれる人が大半でした。しかしながら砂一時代ではそもそも情報がウザがられます。
ファンからオーガニックな言葉を引き出してエンドユーザーに届けてもらうというのは、時間はかかりますが有効な手段でしょう。
砂一時代に生きる者のひとりとして何となく感じていたことが明白になりました。
「最近なんだか伝わっている手応えも実感もない」
「最近なんだか伝わっている手応えも実感もない」そんな方もいるでしょう。媒体にかぎらず、情報を伝える立場にいる人にはぜひ読んで欲しい一冊です。本屋でパラっと立ち読みするだけでも勉強になります。
Kindle版もありますので、かさばるのがイヤという方はこちらをおすすめします。
ちなみに今回が僕にとってのレビューズ初案件となります。報酬が発生する案件ではないため、本記事は第三者による編集などは入っていません。自分の言葉で好きに書けるのが一番ですね。
これが僕のオーガニックな言葉ということで、少しでも伝えたい人に伝われば幸いです。
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