愚直な改善の繰り返しと徹底的にこだわったUXデザイン。2つのアプリから学ぶ継続利用の仕組み

アプリの立ち上げ〜リリース初期のグロースハックあれこれ

モバイルアプリのグロースハックツールを提供している「Repro」さん主催のイベント『Growth Hack Talks by Repro #1』に参加してきました。

本イベントのテーマは「アプリの立ち上げ〜リリース初期のグロースハックあれこれ」ということで、アプリの新規リリースや大規模リニューアルに携わった方々が登壇。

  • 株式会社ペロリ 有川鴻哉氏
  • 株式会社マスカチ 池田純平氏
  • 日本経済新聞社 赤間夏樹氏
  • 株式会社アトラエ 岡利幸氏

前回は株式会社ペロリの有川さん、株式会社マスカチの池田さんのお話をご紹介しました。

本記事では、日本経済新聞社の赤間さん、株式会社アトラエの岡さんのお話をご紹介します。

初期フェーズにおけるプロダクト成長戦略

日本経済新聞社でiOSアプリのエンジニアをしている赤間さん。iOSアプリ『日経電子版』のリニューアルから1年経っての振り返りを、エンジニア寄りの視点で語っていただきました。

日経電子版は2010年にリリースして以来、大きな改修もなくOSのバージョンアップに追従するのみだった。技術的課題や組織構造がボトルネックになっていたが内製開発を目指してフルリニューアルを行なった。

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リニューアル直後のDL数は過去最高となったが…

リニューアルから4日後にApp Storeのおすすめアプリとして3週間ほど掲載。ダウンロード数は歴代最高になったが獲得ユーザーはそれほどではなかったという。

「何かが間違っているのではないか」と気付き「プロダクトの品質が高くないため、それがユーザーの利用継続を阻害している」という結論に達した。

新機能の開発よりも既存機能の改善に注力

アプリのユーザー体験を高めてリテンションを向上させれば、ユーザーの離脱も防げユーザー数を伸ばせるのでは?と考えて改善に踏み出した。

改善のためには小さい単位でリリースして仮説&検証ができる仕組みづくりが必要。開発からリリースまでの手順を自動化したり、プロトタイプを作ってリリース前に検証したりして開発速度を向上。アプリの高速化も頑張った。

新機能の開発よりも既存機能の改善に注力。ひたすらリテンション施策に集中した。

その結果、WAUがリニューアル当初と比較して約1.9倍に向上。評価も増えてきた。

初期フェーズではリテンション向上に集中することが重要。新規ユーザーの獲得よりも離脱ユーザーを減らす方向を目指したことが結果に繋がった。

プロダクト改善は長期戦なので、続けられる仕組みづくりやメンバーのモチベーションづくりも大切だという。

MAU率80%のyentaのすべて(UX設計・チーム作り・立ち上げ・グロースなど)

株式会社アトラエCTOの岡さん。yentaというビジネスマッチングアプリのお話。

yentaはビジネス版のTinderのようなアプリ。リリースして半年で17万マッチングを達成。MAUは約80%という数値が出ている。

立ち上げからグロースハックの流れは、植物の種選びから花を咲かせるまでの流れに似ているという。今回はこの流れに沿い話を展開。

社内テストの結果は芳しくなかったが諦めなかった

まずは企画・検証ということでプロトタイプを開発し、社員全員にテストしてもらった。紹介される15〜60人に対して興味の有無を自由にスワイプ。実際にやってもらうと「みんな思った以上に会いたくない」という結果が出てしまった。

社内の反応は悪かったがどうしても諦めきれず、社外のビジネスマン300名ほどに同様のテストの協力を仰いだ。結果としては社内の4倍くらい反応が良く、予想していた数値が出たため本格的なプロダクト開発に乗り出した。

徹底的にこだわったUXデザイン

UI/UXデザインのモックとしては、下書きを含めると1000枚以上のプロトタイプを作成。

立ち上げ時にはiOSエンジニアがいなかったため、サーバエンジニアにSwiftを覚えてもらい開発してもらったという。4名という少数チームなのでプライベートの事も含めて腹を割って話せる空気作りをテコ入れした。

プロトタイプづくりにはかなり時間を使い「これはハマる」という確信が得られるまで繰り返した。UXデザインで色んな論文や書籍を読んだが、一番汎用的というか応用の効く本として「ハマるしかけ」という本をおすすめしたい。

この本は、続く継続の仕組みづくりでも大いに役立ったという

成功したアプリの流入・継続の仕組みを研究

種まきフェーズとしては広げる仕組みを研究。LinkedInやソーシャルランチといった既存のビジネスマッチングアプリからNewsPicksやSlackまで、様々なアプリの流入〜継続の流れを想像しながら成功の仕組みを探った。

茎を伸ばすフェーズでは、クローズドβの状態で影響力のあるユーザーに使ってもらい流入と継続の両方を獲得できるよう下地を作った。

継続の施策としては、翌日もまた使ってもらえるよう「1日のスワイプ数を10人に制限」したり「マッチングの通知を20時に投げる」といった工夫を凝らし、ユーザーが操作に集中できるつくりにしている。

人が人を呼ぶ仕組みの一貫とし、てプッシュ通知の時間を工夫。レコメンドは12時、マッチングは20時とし、ランチや仕事終わりで飲みに行くような時間に社内で話題になるようにしている。社内で話題になることで「自分も使ってみよう」と意欲を促すという。

ユーザーと一緒にサービスを作る

定期的に開催するユーザー交流会はコミュニティの形成づくりに一躍買っている。ユーザー発のFacebookグループが作られ、ユーザー主催のイベントに運営チームがお呼ばれするといったケースもあるという。

立ち上げ時に粘って戦い、開発にとことんこだわったことでこのような良い流れができた。

今後もリアルイベントで意見を聞くなどし、より良いサービスになるよう頑張っていきたい。

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星影

Tech Hunter代表。マルチポテンシャライト。 ガジェット、アニメ、ゲーム、インターネットが好き。

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